IT活用コラム|セキュリティ対策

ゴールデンウィーク明けに急増するサイバー攻撃 中小企業が連休前・連休中・連休明けにやるべき3つの備え

ゴールデンウィークは、サイバー攻撃を仕掛ける側にとっても 「狙い時」 です。社員が休んでいる間はシステム監視が手薄になり、攻撃に気づくのが遅れがちだからです。

さらに連休明けは、溜まったメールを急いで処理する流れの中で、不審なメールやURLをうっかりクリックしてしまう事故が起こりやすくなります。本記事では、ITサポート専任者がいない中小企業でもすぐに実践できる 「連休前・連休中・連休明けの3つの備え」 を、できるだけ平易にお伝えします。

用語メモ|ランサムウェアとは? 身代金要求型ウイルスのこと。社内のデータを勝手に暗号化し、復号と引き換えに金銭を要求します。中小企業を狙ったケースが急増しており、近年は「データを盗んで公開すると脅す」二重恐喝も一般化しています。

なぜ連休前後にサイバー攻撃が増えるのか

監視の止まる時間が攻撃の入口になる

攻撃者は 「人が確認できない時間帯」 を狙ってきます。長期休暇はその典型で、被害が発覚する頃にはデータが暗号化されたあと、ということも珍しくありません。

連休明けは反対に、社員が「100通の未読メール」を高速で処理しようとする中で、フィッシングメールの添付や不審なURLを開いてしまう事故が起こりやすい時期でもあります。

中小企業も他人事ではない最新統計

警察庁が公表した『令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について』によると、2025年のランサムウェア被害報告件数は 226件(うち中小企業143件、約6割) となっています[1]。一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)の『企業IT利活用動向調査2026』では、ランサムウェア感染被害の経験が 45%にのぼり、もはや珍しい事例ではなくなっています[2]

さらに、警察庁の同レポートでは、被害企業へのアンケートで 調査・復旧費用が1000万円以上 となった割合が約半数(89件中46件)、復旧に1か月以上かかった割合が約4割 という結果が出ています[1]。1度の被害で会社が傾く水準です。「うちは小さいから狙われない」という発想は、もう通用しません。


中小企業が今日から実践できる3つの備え

備え1:連休前のパッチ当てと持ち帰りPC棚卸し

連休直前に必ず行いたいのが、Windows Update・各業務ソフトの更新適用と、社内サーバーやネットワーク機器の 脆弱性パッチ の適用です。

用語メモ|脆弱性とは? プログラムの欠陥で、ハッキングの入口になる箇所のこと。修正プログラム(パッチ)が公開されているのに当てずに放置すると、攻撃者の格好の的になります。

あわせて、自宅に持ち帰るノートPCの 台数・社員名を一覧化し、社外ネットワークでのVPN利用ルールを再確認します。

用語メモ|VPNとは? Virtual Private Networkの略。社外から社内ネットワークに、暗号化された通信路を通じて安全に接続する仕組みです。

古いVPN機器を使い続けている場合は、休み明けにメーカーサイトで 最新ファームウェアの確認 を1分でいいので必ず行ってください。VPN機器の脆弱性は、近年のランサムウェア侵入経路の最多パターンです。

備え2:連休中の管理者連絡網と「異変の入口」

連休中に怪しい挙動があった場合、誰がどう判断するかを 連休前に決めておきます。社内の「管理者役」を2名、副担当を1名指名し、社内SNS・電話番号を共有しておきましょう。

攻撃の入口は、ほぼ次の3つに集約されます。

ATTACK 01|メールの添付ファイル 請求書・配送通知・見積書の体裁で送られてくる実行ファイル付きメール。ZIPやExcelマクロ経由が多い。
ATTACK 02|メール内のURL 「アカウントが停止されました」「至急ご確認ください」と煽る本文+偽ログイン画面への誘導。
ATTACK 03|不審なログイン通知 海外からのログイン試行通知や、覚えのない多要素認証要求。承認すると侵入を許す。

連休中、社員が個人スマホでメールを見る場合も、この3つに当たったら 必ず管理者へ連絡 するルールを徹底します。判断は休み明けでも構いません。「今すぐクリックして対処せよ」と煽るメールほど、踏まずに置いておく勇気 が大事です。

備え3:連休明け初日30分の3チェック

連休明け初日には、業務開始前に30分だけ確保して、次の3点を確認します。

  1. ファイルサーバー・クラウドストレージの最新更新日時に異常がないか:連休中の深夜に勝手に書き換えられていないかを確認。
  2. 社員アカウントへの不審なログイン履歴がないか:Microsoft 365 や Google Workspace の管理画面で「サインインログ」「監査ログ」を確認できます。
  3. 連休中に届いたメールのうち、件名に「請求」「至急」「アカウント停止」が入っているもの:URLや添付を開く前に、送信元アドレスを目視で確認。

この30分が、その後の数百万円の損害を防ぎます。


よくある失敗3点

失敗1:連休明けに溜まった100通を30分でさばこうとする

勢いでフィッシングメールの請求書PDFを開き、ランサムウェアに感染するパターン。朝一の30分は「処理」ではなく「点検」に充てる 意識転換が必要です。

失敗2:VPN機器の更新を半年放置

連休中に侵入されているケースが地方の中小企業で実際に報告されています。VPN・ルーター・ファイアウォールの更新は四半期ごと に確認時間を設けましょう。

失敗3:バックアップ先が同一ネットワーク上にあった

「うちはバックアップを取っているから大丈夫」と思っていたが、バックアップ先も同じネットワーク上のNASにあり、本体と一緒に暗号化された ── という事故が頻発しています。クラウドや物理的に切り離された別媒体への二重保管 が原則です。


まとめ|連休は「セキュリティ訓練」の絶好機

長期休暇は、普段見直せない仕組みを点検する 絶好の機会 でもあります。3つの備えのうち1つでも始められれば、それだけで被害確率は大きく下がります。

「自分たちだけで判断が難しい」「VPN機器が何年使っているか分からない」「Windows 10のESU対象端末がまだ残っている」など、不安が残る場合は、地元のITサポート会社に一度相談してみてください。

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連休前後のセキュリティ点検、お手伝いします

みよし屋では、中小企業の連休前後対策を 3つのシーン でサポートしています。

  • 連休前の総点検:Windows Update/VPN機器ファームウェア/バックアップ二重化チェックの代行
  • 連休中の見守り:管理者の代理連絡先設定と、緊急時の遠隔切断オペレーション
  • 連休明けのアラート初動:ログ点検と不審メール一斉スクリーニング、社員研修教材の提供

「次の連休まで時間がない」という方こそ、まずは現状の点検だけでもお試しください。1度ご相談いただければ、御社の弱点と優先順位だけでもお伝えできます。

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REFERENCES|参考資料

  1. 警察庁「令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」(ランサムウェア被害226件・中小企業143件・復旧費用と所要期間)
    https://www.npa.go.jp/publications/statistics/cybersecurity/
  2. 一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)「企業IT利活用動向調査2026」(2026年3月公表)
    https://www.jipdec.or.jp/news/pressrelease/20260327.html
  3. 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「情報セキュリティ10大脅威 2025」組織編
    https://www.ipa.go.jp/security/10threats/2025.html
  4. 経済産業省「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」
    https://www.meti.go.jp/policy/netsecurity/mng_guide.html