IT活用コラム|生成AI活用

中小企業のための「生成AI”最初の3業務”」 議事録・資料作成・問い合わせ返信から、小さく始める現実解

「生成AI(ChatGPTやCopilotなど、人の指示に応じて文章や表を自動で作ってくれる人工知能)を導入したほうがいいと分かってはいるけれど、何から触ればいいか分からない」——中小企業の経営者や総務担当の方から、この1年で最も多くいただくご相談のひとつです。

2026年に入り、Microsoft 365 CopilotやGoogle Workspace with Gemini(Google Workspaceに組み込まれた生成AI機能)など、普段使っているオフィスソフトの中に生成AIが標準で入り込みました[1][2]。もう「使う/使わない」を選ぶ段階ではなく、「どこから使うか」を決める段階に入っています。

本記事では、10〜50人規模の会社が失敗しにくい”最初の3業務”と、導入の順序を整理します。

用語メモ|生成AIとは? ChatGPTやCopilotのように、人の指示に応じて文章・画像・表などを自動で作ってくれる人工知能のことです。2022年11月末のChatGPT公開以降、オフィスソフトにも急速に組み込まれてきました。

「業種」ではなく「業務」で考える——これが最大のコツ

生成AIの導入に失敗する会社には、ある共通点があります。それは、次の問いから検討を始めてしまうことです。

  • 「うちの業界で成功事例はありますか?」

同業他社の華々しい導入事例を真似ようとすると、自社の規模・人員・予算と合わず、途中で止まってしまいがちです。

一方、うまくいっている会社は逆のアプローチを取っています。

  • 「うちの業務のうち、どれが生成AIに向いているか?」

業種ではなく業務で考える——これが1番のコツです。東京商工会議所が中小企業向けに公開している入門ガイドでも、まず業務を棚卸しして「向いている仕事」から当てはめる順序が推奨されています[3]

生成AIに向いている業務の特徴

向いている業務には、共通の特徴があります。

  • 文章を書く・読む・要約する業務
  • 情報を分類する・整理する業務
  • 定型のやりとりが多い業務

具体的には、資料作成/議事録/問い合わせ対応/稟議書/マニュアル類/メール下書き——この辺りから手を付けると、短期間で効果が見えやすくなります。

実際の削減効果(公表事例より)

Microsoftが公表している導入事例では、次のような削減効果が報告されています(いずれも個別企業の事例であり、すべての会社で同じ結果が出るとは限りません)。

  • 就職・転職情報サービスの株式会社学情:導入から3か月で、全社合計約5,004時間の業務時間削減を公表[1]
  • 株式会社デンソー:先行利用部門の汎用業務で、1人あたり月12時間前後の削減を確認[4]
  • 株式会社ジェーシービー(JCB):利用者1人あたり月約5時間の削減効果を試算[5]

ポイントは、どの会社も最初から全社導入を狙わず、”効きやすい業務”に絞って始めているという共通点があることです。


最初に任せるべき「3業務」

業務①|会議の議事録と要約

最も効果が早く出て、現場からの反発も少ないのが議事録です。

Microsoft TeamsやZoomの録音データを、CopilotやChatGPTに要約させるだけで、これまで担当者が1〜2時間かけていた作業が十数分に短縮できた、という声を多数いただきます。

なぜ議事録が最初に向くのか 議事録は「ゴール(要点を押さえた文書)」が明確で、個人情報を含みにくく、失敗しても修正しやすい業務です。担当者の精神的負担が大きいため、効果を実感してもらいやすいという利点もあります。

議事録担当の負担が減り、会議中も議論に集中できるという副次効果もあります。

業務②|資料作成(Word・Excel・PowerPoint)

オフィスソフトの中で完結する作業は、生成AIの得意分野です[2]

  • 見積書・提案書の文言調整
  • 提案書・社内稟議のたたき台づくり
  • Excelデータからの簡易グラフ作成
  • 既存文書を社外向けに書き直す

Copilotは、指示の仕方さえ覚えれば、次のような日本語の指示でそのまま動きます。

  • 「この表を見やすいグラフにして」
  • 「この文章を社外向けに柔らかく書き直して」

最初は”社内向けの下書き”に限定して使うと、失敗が少なく、社員も安心して試せます。

業務③|問い合わせメールの下書き

毎日何十通も届く問い合わせに対して、定型の回答文を自動で下書きさせる使い方です。

必ず守るべき運用ルール 「送信ボタンを押すのは必ず人」というルールを決めておくこと。AIの下書きをそのまま送ると、事実誤認や不自然な言い回しがそのまま顧客に届くリスクがあります。

このルールさえ守れば、回答品質を落とさずに1件あたり5〜10分を削減できます。件数の多い総務・サポート窓口で特に効果が出やすい業務です。


導入を成功させる3つのポイント

「とりあえず全員分ライセンスを買う」は、失敗の典型パターンです。中小企業に合う現実的な進め方は、次の3ステップです。

① 対象業務を1〜2個に絞って始める

効果の見える業務で先に成功体験をつくると、その後の社内展開がスムーズになります。

② “入力してはいけない情報”のルールを最初に決める

次の情報は、社内ポリシーで「生成AIに入力禁止」と明文化しましょう。個人情報保護委員会・IPA(情報処理推進機構:国のセキュリティ関連機関)も、生成AI利用時の情報管理について注意喚起を行っています[6]

  • 顧客の個人情報(氏名・住所・電話番号など)
  • 未公開の取引条件や見積金額
  • パスワード・APIキーなどの認証情報

③ “社員に任せきり”にしない

月に1回で構わないので、使いこなせている社員の事例を共有する場を設けてください。1人のノウハウが全社の資産に変わり、活用度が一気に伸びます。


まとめ|まず議事録から、小さく始める

生成AIを大げさなDX(デジタル技術による業務変革)プロジェクトと考えると、どうしても腰が重くなります。でも、議事録の要約や資料のたたき台づくりから始めるなら、明日からでも取り組めます。

大切なのは、”完璧な導入計画”より”小さな成功体験”です。

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REFERENCES|参考資料

  1. Microsoft for business「Microsoft 365 Copilot の早期の導入と圧倒的な活用率で切り拓く学情の生成 AI プロジェクト」
    https://www.microsoft.com/ja-jp/biz/smb/cases-gakujo
  2. Google Workspace「Google Workspace with Gemini」
    https://workspace.google.com/solutions/ai/
  3. 東京商工会議所「中小企業のための『生成AI』活用入門ガイド(第3版)」
    https://www.tokyo-cci.or.jp/page.jsp?id=1203134
  4. Microsoft Customer Stories「デンソー、Microsoft 365 Copilot 導入で社員の余力創出と品質向上を実現」
    https://www.microsoft.com/ja-jp/customers/story/19426-denso-corporation-microsoft-365-copilot
  5. Microsoft Customer Stories「業務変革に取り組む JCB。Microsoft 365 Copilot の利用率を高め、業務効率化、生産性を大幅に向上」
    https://www.microsoft.com/ja-jp/customers/story/23634-jcb-co-ltd-microsoft-365-copilot
  6. 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」
    https://www.ppc.go.jp/news/press/2023/230602_AI_utilize_alert/